ヒキコモリロリン

RADWIMPSの曲に、『ヒキコモリロリン』という曲がある。二枚目のアルバムに収録されている曲で、シングル曲ではないが、そこそこ有名だと思う。個人的にとても好きな曲だ。それには理由がある。
『ヒキコモリロリン』を聴くと思い出す情景がある。何か音楽を聴いたときに、その音楽を初めて聴いた時の出来事や感情をふと思い出すことはないだろうか。私の場合、思い出されるのは『ヒキコモリロリン』を初めて聴いた時の事ではなく、『ヒキコモリロリン』を聴いていた頃の記憶なのだが。
RADWIMPSを初めて知ったのは中学一年生の頃だったと思う。『君と羊と青』を友達から教えてもらい、そのかっこよさに驚き、一気にはまった。しかし、当時の私は、TSUTAYAでレンタルするのに抵抗があった。ブックオフで買う価格とTSUTAYAで借りる価格がそんなに大きく違わなかったため、返さなければならないレンタルよりも中古であっても物が残る方がいいのではないか、という考えがあったからだ。だから、RADWIMPSのアルバムはブックオフで揃えた。しかし、近くのブックオフに全てのアルバムが置いてある訳ではなく、持っているアルバムには欠けているところがあった。それが二番目のアルバム『発展途上』だ。『ヒキコモリロリン』はこのアルバムの中に入っている。
そんなTSUTAYA嫌いの私だったが、高校受験が終わり時間に余裕ができた。幸いにも自転車で行ける距離にある県内トップクラスの県立高校に合格できた。だから気分が軽かった。私のTSUTAYAデビューはそんな時だった。そうして噂に聞いていた『発展途上』を借りたのだった。
私は、好きな曲があるとその曲だけをとここん聴いてしまう。その時は『発展途上』の中の『ヒキコモリロリン』を聴きまくっていた。よくわからない歌詞、テンポのいいリズム、転調、全てが魅力的だった。
高校が始まった。その高校は私服校だった。センスのいい友達に選んでもらった慣れないお洒落な服を着ていた。自転車通学が始まった。通学路も通学時間もいまいち把握できていなかったから早めに家を出ていた。急がなくても始業のベルには間に合うはずだ。それでも自然と立ちこぎになる。スピードが上がる。4月の朝は少し暖かくなってきたがまだ寒い。そして、耳にはイヤホン。流れていたこは『ヒキコモリロリン』。
今でも『ヒキコモリロリン』は大好きな曲だ。この曲を聴くとあの情景が浮かんでくる。でも今は聴きまくってはいない。あの情景が薄れてしまうような気がするから。大切に聴いていきたいと思う。